図体を大きくする
木曜日は馴染みの整体に行った。
脚やせの秘技を開発したとやらで, その実験と宣伝用写真撮影に使われることになった。あまりに通っているので, 安いかわりに実験に使われるのである。
脚は目に見てわかるほどに痩せた。
以前同じように顔痩せの実験に使われた時と同様音叉を使って皮膚を震わせる。それはどうも昔友達のサロンで受けた超音波顔痩せと同じ原理のようだ。
世間話をしている最中, 家事の分担に不満があるのだ, という話をした。掃除はすべてわたしがやっているし, 彼はきっと皿洗いはしているとの意識があるのだろうが, 排水溝のゴミ受けのゴミを出して洗うところまではしないのだと。
すると馴染みの整体師は, 「そもそも貴女の口癖が"ほんとうに?"であることからもわかるように, 騙されやすい, 影響されやすい人間なのです。それを利用する人は狡猾に, 騙されやすい人間を選ぶんです」と言った。
走馬灯のように様々な出来事が頭にうかんだ。詐欺師みたいなカウンセラーの元彼とか, ろくでもない芸能事務所の社長とか。
整体師は, 「自分を大きく見せればいいんです。そのためには自己イメージを大きくすればいい。自分のこのビルのサイズほどあると想像してください」
私は目をつぶって, 自分のまわりにある液体のようなものがビルを満たすイメージをした。するとどうだろう。自身がみなぎるように感じられた。
そのまま帰って, 翌朝, 家事分担に不満がある旨を伝えた。
すると話はあっさり通って, 一部の掃除を彼が分担することで話がついた。また, 皿洗いとはゴミ受けの掃除も含むことも了承された。